日本の伝統食品納豆
  • 納豆の作り方

伝統的な納豆の作り方は、蒸した大豆を藁で包み、40度程度に保温し約1日ほど置いておく。稲藁に付着している納豆菌が大豆に移行し、増殖することによって発酵が起こり、納豆ができあがる。

近年では、大量生産の要求に応えるため、あるいは伝統的な製法では良質の藁を確保すること等が困難なこともあり、純粋培養した納豆菌を用いる製造が主流である。つまり、蒸した大豆に純粋培養した納豆菌の分散液をかける。次いでこれを発泡スチロール容器や紙パックに装填し適温で保温すると、納豆菌が増殖し発酵する。流通段階での発酵の進み具合も勘案し、適度な発酵に至った段階で、消費期限やブランド銘が記された包装を施し出荷する。


製法にかかわらず、業として納豆を製造するには、食品衛生法に基づき都道府県知事(保健所を設置する市では市長、特別区では区長)の許可が必要である。

市販の納豆の大部分は、上述のように純粋培養した納豆菌を種菌(たねきん)として用いる製法によって製造されている。 稲藁を用いた伝統的な製法による納豆も少ないながら製造され流通している。この製法での納豆菌は耐熱性の高い芽胞となって藁に付着しており、100°Cで沸騰している湯に数分浸すと大部分の雑菌が煮沸されて死滅し、納豆菌芽胞が生き残る。その後、茹でた大豆を藁と接触させ37度から42度に保つと、納豆菌は芽胞から発芽し増殖を始める。そして、その旺盛な繁殖力で、死滅を逃れた他の芽胞菌類に先んじて栄養となる物質を消費し、他の微生物の繁殖を阻む。 いずれにせよ、日本国内で流通する市販品は、食品としての基準に適合するよう管理され製造されていると見做して良い。

なお、敢えて自家で納豆を作ることを試みる場合には、いくつかの留意点がある。納豆菌は酸にはやや弱く、乳酸菌の活動によって生まれる乳酸によって活動が阻害される事がある。また技術開発の結果普及した匂いの弱い種の納豆では、活動がさほど旺盛ではない菌株が用いられており、環境によっては雑菌が繁殖する余地がある。また、納豆菌の天敵として細菌寄生性ウイルスのバクテリオファージがあり、ファージ活動後に雑菌が繁殖する事もありうる。特に納豆菌繁殖前の茹でた大豆には雑菌が極めて繁殖しやすい。自家製といえども食用に供するには衛生面でのそれなりの配慮が必要である。

納豆が苦手な人の中には納豆を指して「腐った煮豆」などと形容する例も見られる。しかし腐敗と発酵との違いは、専ら、微生物が作用した結果が有害(無益)なものかあるいは有用なものかという価値判断に基づくものである。したがって、食品として十分衛生的に製造され、多くの人に嗜好され、栄養的に価値が高い納豆は優れた「発酵」食品である。


  • 納豆の食べ方

納豆の食べ方は、人による好みだけではなく地方差など、各種ある。いわゆる納豆ご飯として、白米を炊いたご飯に納豆を載せて一緒に食べる事が多い。 納豆をふんわりとした食感で食べるためには、糸を引いて空気を含むように良く練ることである。これは、先にタレなどを加えると水分過多となってしまい粘りがあまり出なくなってしまうからである。

納豆を食べ慣れてない場合、特有の伸びた糸又はちぎれた糸によって器や食卓を汚してしまう事やその食べにくさが問題となるが、その場合は箸先を味噌汁に少しだけ浸けて納豆を食べるようにすると粘り気を保ちつつ余分な糸ができにくくなる。味噌汁に含まれる水分、塩分、そして温度などで糸を安定させている成分であるフラクタンが不安定になり糸が伸びる前に切れるからである。 納豆を叩き刻んで味噌汁に入れた納豆汁は、江戸時代までは納豆ご飯よりも頻繁に食卓に上っていた。カレーライス、ラーメン、和風スパゲッティのトッピング、お好み焼きの具、納豆巻きの具、天ぷらのタネとしても用いられる。


醤油やタレの他、和ガラシを加える食べ方が一般的だが、鶏卵やウズラの卵、ネギ、ミョウガ、大根おろし、とんぶり、鰹節などを合わせて食べることも多い。ナガイモ(とろろ)、メカブ、オクラなど、納豆同様に粘り気がある食品と混ぜることも広く行われる。 ネギやからしを加えると納豆のアンモニア臭を抑える効果があり、優れた薬味ともいえる。ネギやからしを途中で加えずに、蕎麦のネギやわさびと同様に最後に少しだけ載せた方がおいしいという人、からしの代わりにワサビを載せる人もいる。

また、北海道・東北地方の一部で砂糖を加えることが知られている。砂糖のみを加えて食していると誤解される事もあるが、正しくは醤油に一つまみ程度の砂糖を加え“甘だれ”風にしているものである。

福島県では白菜の漬け物を入れて食べる習慣がある。